人の記憶を読み取るおじさん その1

数年前に、猛烈な肩凝りに襲われて

会社終わりに今すぐマッサージに行かないと死んでしまう!!状況になったことがあった。

 

当日予約出来そうな店に電話したものの、

どこも空きがなく。

 

地元マッサージ店に詳しい母親に相談した所、

「最近近所に出来た整体の店があるよ、そこに電話してみれば?」

とのこと。

 

すぐに電話すると、今からオッケーとのことだったので、速攻向かうことに。

 

心身共に限界で大層具合悪く見えていたであろう私を出迎えてくれたのは、

整体師がよく来ている白い白衣を着た、白髪混じりの小柄おじさん1人。

 

「もう他のスタッフは今日は帰っちゃったんだよー!たまたまタイミングよく電話がかかってきてねー、よかったよー!」

 

私1人の為にわざわざ待っていてくれたのかと、申し訳ない気持ちになりつつも、

問診票を書き、治療室へ案内される。

 

店内は新しく出来ただけあり、とても綺麗でなかなか好印象。家からも近いし、行きつけのお店になりそうだなー。と思いながら、

着替えてベットの上に横たわり

しばしおじさんを待つ。

 

「準備できましたかー?はいりますねー」

おじさん入室。

「それじゃあ、はじめていきますねー」

私の顔にタオルをかけるおじさん。

「まず、頭の疲れをとっていきますよー」

私の頭にタオルの上から両手を乗せるおじさん。

 

…しかし

おじさんによるマッサージが全く始まらない。

そのまま1分経過。

 

もしかしたら、

このおじさん、私の頭を温めてる!?

自分の体温で頭皮の血行不良解消してくれてる?もしくは、まさかの気功⁉︎

 

私の頭の中はフル回転。

本心では

「今何してるんですか?」

と聞きたい気持ちで一杯だったが

そこは空気を読んでしまい

何も言えない。

 

結局、5分程度の謎の時間が過ぎた所で、

普通の整体マッサージを施してくれました。

ああ。よかった。

 

マッサージ自体はとても上手だったので

最初の謎の5分はきっと小柄おじさんのエネルギーでも注入してくれたんだろうと

自分で納得させ、着替えてお会計をしばし待つ。

 

奥からお茶を持った

おじさん登場。

今回のマッサージのフィードバックを

お茶を飲みながら聞く。

エステ店でもよくある、

 

すごい凝ってましたねー!

効果が出るには時間がかかるから何回か通った方がいいですよー

 

勧誘かと思い、軽く話を聞き流す準備。

 

すみません…

こっちは早く帰って寝たいんです

 

しかしおじさんからのフィードバックは以外な

言葉だった。

 

「お姉さん、幼少期に辛いことあったでしょ?」

 

…そんなん誰だってあるわ。

 

「はい、まぁ…ありましたね…」

と恐る恐る返すと

 

「やっぱりね!今も仕事で辛い立場に置かれてるんじゃない?職場に苦手な人がいるんじゃない?」

 

…そんなん誰だってあるわ。

 

「え、なんでわかるんですか??」

と、おじさんを泳がせてみる。

 

「やっぱりねー!お姉さんの頭に手を置いてた時に、お姉さんのね、悲しい記憶がね、伝わってきたんだよー」

「実はね、ウチではね、そういった過去の悲しい記憶を思い出してもらって、それを僕が読み取って共有することで、心の傷を癒す治療をやってるんだよー」

 

ヤバイのきたぁぁぁ

 

 

次回につづく